へい太郎の世界

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心臓突然死の予防を目的としての植込み型除細動器(ICD) 

最新号のNEJMから。

心筋梗塞後早期の除細動器の植込み


試験の概要はアブストラクトを参照していただくとして、注目したのは、この号のエディトリアル。本試験に関して、The Confirmatory Trial in Comparative-Effectiveness Researchとのタイトルで、比較試験を確認するための試験の必要性が考察されてる。

この試験では、現行のガイドラインでは推奨されて”いない”心筋梗塞後早期の除細動器(ICD)の植込みの効果を評価したもの。

推奨されていないのは過去に実施されたRCT(DINAMIT試験)で有効性が示されていないからである。つまりネガティブな試験の結果が再現されるかどうかの確認試験との位置づけとなる。

議論になるのは、この試験をしてもしなくても、現状の治療に変化はない、との考え方である。
つまり、過去にネガティブな結果が出ているため、仮にポジティブな結果が出ても、ICD治療が推奨されるようにはならないし、ネガティブな結果が出た場合はこれまでのガイドラインを推奨するだけである、との考え方である。

また、医療費の削減に対する視点では、ポジティブな結果が出た場合には、高価な治療を推奨することにつながってしまう、との考え方もある。

ということで、ネガティブな試験を追試するための確認試験は必要ないとの結論になるのかというと、そうではない。
もし過去の試験成績に反してポジティブな結果が出た場合、その試験によって治療の変化を起こすことが出来ないとしても、次の試験を実施する根拠となる。
もし過去の試験成績と同様にネガティブな結果が出た場合、これまで以上にその効かない治療の実施を減らす方向に寄与するのである(とくに今回のように高価な治療を減らす方向に働きかけることは意味があるのである)




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不活化ワクチンと弱毒生ワクチン 

インフルエンザが気になる今日この頃。

最新号のNEJMに不活化ワクチンと弱毒生ワクチンの効果を比較した試験成績が報告されている。

インフルエンザに対する不活化ワクチンと弱毒生ワクチンの効果の比較

2007~08 年のインフルエンザ流行期間中に健康成人を対象とした試験の結果で、
不活性化ワクチンと弱毒性ワクチンともに,症候性 A 型インフルエンザ(主に H3N2 型)の予防に有効であったが、その効果は弱毒生ワクチンよりも不活化ワクチンの方が高かったというもの。

ちなみに、日本で生産されているワクチンは不活化ワクチン。
このワクチンは鶏卵を用いて作る必要があり、大量生産が容易でないとの問題がある。
また、鶏卵を用いているので、卵アレルギーの人への接種は避ける必要がある。

対して弱毒性ワクチンは、生ワクチンとも呼ばれるもので、その名の通り毒性を弱めたウイルスを用いて作成するワクチン。したがって、弱毒化したといっても、生きているウイルスを用いるためウイルスによる副作用の懸念がある。









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プラスグレルの問題 


Weighing Benefits and Risks ? The FDA's Review of Prasugrel
http://content.nejm.org/cgi/content/extract/361/10/942

の要点。

FDAによるとプラスグレルのレビューに複雑な問題がいくつかあったとのこと。


まずひとつに、TRITON–TIMI 38試験のデータによると、プラスグレルはクロピドグレルに比べてプライマリーエンドポイント(death from cardiovascular causes, nonfatal myocardial infarction, and nonfatal strokeからなる複合エンドポイント)の発生を低下させたが、約30%出血のリスクの増加がみられていることがある。

結果としてFDAは、複合エンドポイントの内容は不可逆的な組織のダメージを引き起こすのに対して、安全性で問題視されている出血は可逆的であることから、ベネフィットの方がリスクを上回ると判断した。

もう少し細かく言うと、重篤な出血のイベントは複合エンドポイントに含まれることや、致命的な出血がほとんどなかったことが背景にある。

ちなみに、いくつかのサブグループでは、クロピドグレルよりもプラスグレルでより出血が多い。
たとえば、CABGを施工された患者である(クロピドグレル4.5%、プラスグレル14.1%)。75歳以上の高齢者でも致死的な出血が多い(クロピドグレル0.1%。プラスグレル1.0%)。


もう一つの問題は、neoplasms(腫瘍)の発現がプラスグレル群で多かったことである。このため、様々な要因に対してプラスグレルが腫瘍の発現を引き起こすのか考察された。

試験が短期間であったこと等から、FDAはプラスグレルが腫瘍の発生を引き起こしているとしたら、新たな腫瘍の発現を引き起こすのではなく、既に存在していた腫瘍に対して刺激を与える可能性があると考え、そこに焦点をあてた。

そこでFDAはスポンサーに対して、それらの可能性の評価を求め、スポンサーによって非臨床で実験されたが、結果はネガティブだった。

これらの経緯を得て、FDAは腫瘍を引き起こす作用はないと判断した。


その他の問題として、製剤の問題があった。これらの問題も臨床的に問題ないと最終的に判断された。












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プラスグレル 

本日は真面目に。

NEJM
Volume 361 September 3, 2009 Number 10

Prasugrel in Clinical Practice
http://content.nejm.org/cgi/content/short/361/10/940

を読んで。その要点。


FDAが今年の7月に承認したプラスグレル。
そのレビューは2回にわたる審査期間の延長があり、レビューには18か月を要したとのこと。
適応としては「経皮的冠動脈形成術(PCI)を受けた急性冠症候群(ACS)患者における血栓性心血管イベントリスクの抑制」を取得した。


プラスグレルは、血小板表面でP2Y12 アデノシン二リン酸(ADP:adenosine diphosphate)受容体を遮断することで、血小板の活性化および凝集を抑制する。

詳しくはこちら。
Clinical Aspects of Platelet Inhibitors and Thrombus Formation
http://circres.ahajournals.org/cgi/content/full/100/9/1261

このクラスの初代は、チクロピジンである。
チクロピジンは、アスピリンとの併用で冠動脈ステントの際に幅広く使用されていたのだが、
チクロピジンには好中球減少症などの深刻な副作用が認められる。

そこで次の薬剤としえ登場したのがクロピドグレル。
クロピドグレルはチクロピジン比べて血液学的な安全性のプロファイルがよく、
アスピリンで問題視されている胃腸障害も少ないとの特徴をもつ。
このためクロピドグレルが承認された後はチクロピジンの使用は急激に減った。

クロピドグレルはアスピリンに比べ、安全性のプロファイルだけでなく、
虚血性イベントの再発抑制作用など有効性の面でも優れているがコストが高いとの問題点がある。

そのためにアスピリンからクロピドグレルへの切り替えには歯止めがかかり、
クロピドグレルはアスピリンが使用できない患者に対する代替の薬剤との位置づけが続いた。

ちなみに、冠動脈ステント術を施工したACS患者に対する12ヶ月間の治療において
クロピドグレルとアスピリンの併用はアスピリン単独よりも優れているとの成績が得られている。


ところで承認を取得したプラスグレルが優れている点は何か。
それはADP受容体の阻害作用がクロピドグレルよりも強力だという点である。

このクラスの薬剤はプロドラッグ(肝臓で代謝された活性型が、血小板表面にあるADP受容体を介して凝集を抑制する)
であるが、プラスグレルは活性代謝物への変換効率が高く、このためADP受容体への阻害作用が強力である。

さて、このようにより強力な抗血小板作用を有するとなると、
虚血性イベントの抑制もより強まると期待できる。
そしてその半面、より出血しやすいとの懸念も強まる。

このような仮説を確認するために、ステント植込みを施行された急性冠症候群患者に
プラスグレルとクロピドグレルを比較したTRITON-TIMI-38試験が実施された。

結果の概略は以下のHPにまとまっているが、
http://www.ebm-library.jp/att/detail/61500.html

結果としては、プラスグレルはクロピドグレルに比べてステント血栓症を含む虚血性イベントの発症を抑制したが、
重大な出血が多いとの結果であった。

サブグループ解析によると、重大な出血を起こしやすいのは、
「高齢者」、「低体重者」、「脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)の既往のある患者」
であることが示唆されている。

また、薬物動態の解析から、「75歳以上の高齢者」、「60kg未満の低体重者」に対しては
用量を減らすことで出血のリスクを減らせることができると考えられる。


TRITON-TIMI-38試験では、PCIが計画されている患者を対象としていたが、
少人数だがCABGを施工された患者も組み入れている。

そして、これらCABGが施工された患者に対して、プラスグレル群はクロピドグレル群に比べて、4倍以上の大出血が発現している。
クリピドグレル服薬中の患者に対して手術をしたがらない心臓外科医にとっては、プラスグレルはより受け入れがたい薬剤であろう。
このように救急部では、ACS患者に対するプラスグレルの処方は問題であると思われるかもしれない。


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