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今年を振り返る(TGN1412) 

今年は、治験の分野において、歴史に残る痛ましい出来事があった。
TGN1412のフェーズⅠ試験の惨事である。

治験に関わる人ではもう知らない人は少ないと思うが、簡単に要約すると、イギリスで抗 CD28 モノクローナル抗体であるTGN1412のフェーズⅠ試験が実施され、TGN1412を投与された6 人(健康なボランティア)全員が多臓器不全などの重篤な症状を示したというものである。

今年の3月、はじめてこのニュースを知った時には、本当に驚いたのと同時に、治験という仕事の怖さを認識させられたものだ。自分もこのような惨事に直面する可能性はゼロではないと考えさせられた。

というのも、当然のことながら、TGN1412も最低限の規制はクリアしていたからである。

新薬の開発は、厳しい規制に則って進められる。その規制の代表がICHガイドラインであり、ヒトを対象とした試験を実施する前に終わらせておくべき試験が厳しく規定されている。TGN1412も、ICHに規定されているからは、安全であると判断されたものなのである。
(ICHガイドラインはこちらから。安全性試験に関するガイドラインはSシリーズ、どの時期に実施すべきかはM3で規定されています)

安全といってもあくまでも動物のデータあり、最終的にはヒトで見なければ安全かどうかは解らないというのは当たり前のことなのだが、これまで心のどこかで、「非臨床試験をクリアしているので重いものは出ないだろう」という楽観的な考えをもっていたことに気がついた。

TGN1412は抗体製剤であり動物で安全性を評価するのが難しいタイプであると考えるのではなく、どのような薬剤でもはじめてヒトに投与する際は何が起こるか解らないという意識を強くして、今後も治験に関わっていこうかと思う。


この試験のインパクトの大きさは、医学会全体でも相当のものだったのだろう。一流誌のNEJM、LANCET、BMJ等でTGN1412の記事が掲載された。
(NEJMでは、患者の状態の経緯の詳細が報告されています。Cytokine Storm in a Phase 1 Trial of the Anti-CD28 Monoclonal Antibody TGN1412。治験に関わっている方は、読んでみてください)

日本では不思議とニュースとしての扱いは小さいものだったが、先日の日本臨床薬理学会では演題としても大きく取り扱われ、今後のあり方について議論されていた(その時、インクロムが主催した講演の発表資料はこちらです)。

どのような薬であれ、はじめてヒトが飲むというステップは避けて通れないと思うし、そのステップがある以上、同じような惨事が起こる可能性はないとは言えない。

大切なことは、重篤な事象のシグナルをいち早く察知し、被験者を適切に保護する体制の徹底であろう。そして、もし重篤な事象が起きたら、どのように対応するのか。そのイメージを常にもつことである。

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