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プラスグレル 

本日は真面目に。

NEJM
Volume 361 September 3, 2009 Number 10

Prasugrel in Clinical Practice
http://content.nejm.org/cgi/content/short/361/10/940

を読んで。その要点。


FDAが今年の7月に承認したプラスグレル。
そのレビューは2回にわたる審査期間の延長があり、レビューには18か月を要したとのこと。
適応としては「経皮的冠動脈形成術(PCI)を受けた急性冠症候群(ACS)患者における血栓性心血管イベントリスクの抑制」を取得した。


プラスグレルは、血小板表面でP2Y12 アデノシン二リン酸(ADP:adenosine diphosphate)受容体を遮断することで、血小板の活性化および凝集を抑制する。

詳しくはこちら。
Clinical Aspects of Platelet Inhibitors and Thrombus Formation
http://circres.ahajournals.org/cgi/content/full/100/9/1261

このクラスの初代は、チクロピジンである。
チクロピジンは、アスピリンとの併用で冠動脈ステントの際に幅広く使用されていたのだが、
チクロピジンには好中球減少症などの深刻な副作用が認められる。

そこで次の薬剤としえ登場したのがクロピドグレル。
クロピドグレルはチクロピジン比べて血液学的な安全性のプロファイルがよく、
アスピリンで問題視されている胃腸障害も少ないとの特徴をもつ。
このためクロピドグレルが承認された後はチクロピジンの使用は急激に減った。

クロピドグレルはアスピリンに比べ、安全性のプロファイルだけでなく、
虚血性イベントの再発抑制作用など有効性の面でも優れているがコストが高いとの問題点がある。

そのためにアスピリンからクロピドグレルへの切り替えには歯止めがかかり、
クロピドグレルはアスピリンが使用できない患者に対する代替の薬剤との位置づけが続いた。

ちなみに、冠動脈ステント術を施工したACS患者に対する12ヶ月間の治療において
クロピドグレルとアスピリンの併用はアスピリン単独よりも優れているとの成績が得られている。


ところで承認を取得したプラスグレルが優れている点は何か。
それはADP受容体の阻害作用がクロピドグレルよりも強力だという点である。

このクラスの薬剤はプロドラッグ(肝臓で代謝された活性型が、血小板表面にあるADP受容体を介して凝集を抑制する)
であるが、プラスグレルは活性代謝物への変換効率が高く、このためADP受容体への阻害作用が強力である。

さて、このようにより強力な抗血小板作用を有するとなると、
虚血性イベントの抑制もより強まると期待できる。
そしてその半面、より出血しやすいとの懸念も強まる。

このような仮説を確認するために、ステント植込みを施行された急性冠症候群患者に
プラスグレルとクロピドグレルを比較したTRITON-TIMI-38試験が実施された。

結果の概略は以下のHPにまとまっているが、
http://www.ebm-library.jp/att/detail/61500.html

結果としては、プラスグレルはクロピドグレルに比べてステント血栓症を含む虚血性イベントの発症を抑制したが、
重大な出血が多いとの結果であった。

サブグループ解析によると、重大な出血を起こしやすいのは、
「高齢者」、「低体重者」、「脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)の既往のある患者」
であることが示唆されている。

また、薬物動態の解析から、「75歳以上の高齢者」、「60kg未満の低体重者」に対しては
用量を減らすことで出血のリスクを減らせることができると考えられる。


TRITON-TIMI-38試験では、PCIが計画されている患者を対象としていたが、
少人数だがCABGを施工された患者も組み入れている。

そして、これらCABGが施工された患者に対して、プラスグレル群はクロピドグレル群に比べて、4倍以上の大出血が発現している。
クリピドグレル服薬中の患者に対して手術をしたがらない心臓外科医にとっては、プラスグレルはより受け入れがたい薬剤であろう。
このように救急部では、ACS患者に対するプラスグレルの処方は問題であると思われるかもしれない。

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