へい太郎の世界

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日本における治験の倫理(過去の問題) 

僕は製薬企業で治験というものに携わる仕事をしている。

治験とは、新しい薬などを市販することを、国(厚生労働省)に認めてもらうために行うものである。
(語源は「治療試験」の略称とのことであるが、治療試験という表現はほとんど使われていない)

治験は、新しい薬(候補)が有効であるのか、安全であるのかを調べるために行う。なぜならば、効かなかったり、安全でなかったりする薬を、間違って市販する(多くの人に使われる)ことは問題であるからである。

このように治験の意義は大きい。そして、誤った判断(効かない薬を効くと判断したり、安全でない薬を安全と判断したり)を防ぐために、治験は法律に従って非常に厳しく実施されるし、国(厚生労働省)に厳しく審査される。

僕はこの世界に入って数年立ち、ようやく慣れてきたが、この法律(実際はGCPと呼ばれるもの)に従って試験を実施することは、異常なほど厳しいと言える。

この背景には、人を対象とした試験(人体実験)における過去の過ちや、薬というものの位置づけ(人の命に直結する)が大きく絡んでいる。今回は、人体実験について考えたい。

人体実験に関わることは、日本において大きな意味をもつ。なぜならば、旧日本軍の731部隊によって人体実験(細菌兵器の開発のために、捕虜を対象に細菌感染や生体解剖、凍傷、毒ガスなどを調べた)を行った過去をもつからである。

そしてここからが大きなポイントとなるが、
このような倫理的な問題の大きい実験が行われていたにもかかわらず、終戦後、731部隊の人体実験は、罰せられなかったのである。
関係者に徹底した口止めがなされたり証言すべき生き残りの人がいなかったりとか、米国へのデータ引渡しの代償として裁判がなされなかったとか言われているが、なにはともあれ、日本では、人体実験(731部隊)に対する反省するよい機会を失った。また、機会を失っただけでなく、731部隊の医師は、戦後、医学界や製薬企業へ移っている。このため、「人体事件」に関することがタブーとなる状況が生じた。このような歴史のため、日本における人を対象とした試験の基準作りも進まなかった経緯がある。同じ時期にナチスの医師により行われた人体事件が、きちんとした形で裁判され、ドイツが国として反省に取り組んだのと大きな違いである。

このような歴史をもつことを心に刻んで、倫理を重んじ、そして無駄にならない質の高い治験を実施したいと思う。



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