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有害事象と苦労 

有害事象という言葉をご存知であろうか。
治験では、有害事象の情報を集めなければならない。

有害事象とは、以下のように定義されている(答申GCP)。

2-54 有害事象

 治験薬を投与された被験者に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごと。必ずしも当該治験薬の投与との因果関係が明らかなもののみを示すものではない。すなわち、有害事象とは、治験薬が投与された際に起こる、あらゆる好ましくないあるいは意図しない徴候(臨床検査値の異常を含む)、症状又は病気のことであり、当該治験薬との因果関係の有無は問わない。



つまり、医学的に好ましくないことは、治験薬が原因かどうかは関係なく、あらゆるものが該当するのだ。

この”あらゆる”というのがポイントである。

よく例に出されるのが、交通事故。
当然、医療上好ましくない出来事なので、有害事象である。

料理をしていて火傷した。
これも有害事象である。

通り魔にナイフで刺されて、重症を負った。
もちろん有害事象である。

原因が明らかなものまで、収集する必要があるのかと疑問に思う方もいるかもしれない。確かに、原因が明らかであれば、必要ないのだろう。

しかし、原因が明らかと思っていても、なにかと疑う余地が残されているものである。

例えば交通事故で言うと、運転手として事故を起こしたのであれば、治験薬のせいで眠気が引き起こされたとか、めまいが引き起こされたのではないかと疑うことができる。

料理で火傷を負ったという場合も、治験薬のせいで注意力が低下していたのではないかと疑うことができる。

つまり、審査する側は、疑いの目をもって評価しているのである。これば有害事象の収集が必要となる理由だ。

ただし、有害事象だけでは、やはり評価がぼやけてしまう。
そこで、”治験薬との関連性があるもの”を評価することも必要となる。この治験薬との関連があるものを副作用と言い、以下のように定義されている。

2-49 副作用

治験薬(対照薬として用いられる市販薬を除く)については以下のとおり:

 投与量にかかわらず、投与された治験薬に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査値の異常を含む)。すなわち、当該治験薬と有害事象との間の因果関係について、少なくとも合理的な可能性があり、因果関係を否定できない反応を指す。

市販薬については以下のとおり:

 疾病の予防、診断、治療、又は生理機能の調整のために用いられる通常の投与量範囲で投与された医薬品に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査値の異常を含む)。すなわち、当該医薬品と有害事象との間の因果関係について、少なくとも合理的な可能性があり、因果関係を否定できない反応を指す。

(なお、本基準においては、副作用という用語を、薬理作用の中で主作用に対する副作用を意味する英語の side effect ではなく、薬物有害反応 adverse drug reaction に対応する意味で用いている。)




治験の現場では、カルテに記載されている情報などから、有害事象が特定されていく。例えば、以下のような流れである。

1.カルテに、”咳、腹痛、鼻汁”などの情報が残る。
2.医師によって、それらの症状が評価され、有害事象名が決まる
(上記の場合は、おそらく感冒のような形で報告される)
3.その有害事象が発現した日や消失した日、程度、その有害事象に対して行った治療内容などの情報が特定される
4.治験薬との関連があるか評価される(関連ありの場合は副作用)
5.治験薬との関連がないと判断された場合は、関連性がないと判断した理由を明らかにする(治験薬を飲み続けていても消失した,
偶発症である、など)


カルテには、患者からの訴えなど断片的に残されていることが多いので、有害事象としてまとめるのは、結構大変なことが多い。

担当医師もモニターも苦労が多い部分なのだ。
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