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寝過ぎと持久力の関係(クロスセクショナル) 

今日の朝日新聞で、以下のような記事を読んだ。

寝過ぎ高校生 持久力劣る?
1日8時間以上睡眠をとる高校生は、6時間未満の人より持久力で劣っている傾向がある。文部科学省が8日に公表した05年度の体力・運動能力調査で、こんな結果が出た。・・・・。一方、小学生は8時間以上の方が好成績で、中学生もほぼ同じ傾向であった。



よく寝ている方が持久力があるのでは、と思う人は多いのではないか。
面白い結果だと思う。


昨日、EBMにおけるエビデンスのレベルは、研究の方法によって振り分けることができることを紹介したが、この記事のもとになった研究は、クロスセクショナル(横断研究)に該当する。いわゆる実態調査と呼ばれるものであり、ある時点(今回の記事で言うと2005年)での情報を収集し、解析するものである。

この方法の利点は、ある時点だけの情報を収集すればよいので、容易に情報を収集できることである。

ランダム化比較試験やコホート研究では、研究対象をしばらくの間追跡する必要があることを考えると、その容易さがイメージできるであろう。

他には、得られる情報が新鮮であるという利点もある。これは、ケースコントロール研究と比較しての利点である。つまり、ケースコントロール研究では、過去に遡って情報を集めるため、得られる情報にバイアスが入りやすい(記録されやすいデータしか収集できないなど)が、クロスセクショナル研究では、この手のバイアスは除くことができる。

それでは、クロスセクショナル研究の欠点はどこにあるのであろうか。

それは、この研究から得られた結果は、あくまでも相関関係のみであり、”因果関係(原因→結果)”を推定することはできないことである。

なぜなら、クロスセクショナル研究は、あくまでも1時点の調査結果であり、時間経過の情報がないからである。これが、エビデンスのレベルとして低い理由である。


さて、記事の話に戻るが、”寝過ぎ高校生 持久劣る?”という見出しを読むと、

寝過ぎ(原因)→持久力低下(結果)

というような因果関係をイメージするかもしれない。
しかし、今回の結果から解ることは、あくまでも寝過ぎと持久力低下が関連ありそうだという程度である。

例えば、

持久力低下(原因)→寝過ぎ(結果)

という可能性もある(持久力が低下していると疲れやすく、10時間以上の睡眠が必要になるとか)。


また、もう1つ重要なポイントがある。
それは、相関関係があるといったも、それぞれが原因と結果の関係であるとは限らないということである。

注目している2つの要因(持久力低下と寝過ぎ)それぞれに関連するような要因があった場合、見かけとして相関関係が得られてしまうのである(このような現象を交絡という)。

例えば今回のケースにおいて、”活動的な性格”という要因があったとする。活動的であれば、趣味も多く、結果として睡眠時間が短くなるかもしれない。一方、活動的であれば、体力もつくかもしれない。

活動的である→睡眠時間が短い
活動的である→持久力がある

この場合、睡眠時間と持久力の間で、直接の関連がなくても、お互いに相関関係が得られてしまう。活動的の例はあくまでも即席で思いついたことなので、読み流して欲しいが、とにかくクロスセクショナル研究では、”相関関係”しか得られない。

因果関係を推測するには、時間軸の情報を伴った研究デザイン(RCT、コホート、ケースコントロール)が必要である。


皆さん、クロスセクショナル研究の結果を解釈する際は、因果関係の順序や、裏に隠れているかもしれない要因をいろいろ想像してみてはいかがでしょうか。


研究デザインに詳しい参考書。
いずれも良書である。

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