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目に見えるものから、見えないものを探る 

11月2日号のNEJMのアブストラクトを読んでいて、歯周病治療と早期産のリスクの記事に目がとまった。

母親の歯周病は,早期産ならびに低出生体重のリスク上昇と関連している.非外科的な歯周病治療が早期産に与える影響について検討した.



という研究である。

「母親の歯周病」と「早期産」「低出生体重」に関連がある

ということは、これまで知らなかった。
どう関連があるのか、なかなか興味深いものである。

もし歯周病が、早期産、低出生体重の原因であるならば、歯周病を治療することで、早期産、低出生を減らすことが出来るはずである。

このことを、この試験では以下の方法で調べている。

妊娠 13~17 週の女性を、以下の2つの群にランダム化する。

・歯石除去とルートプレーニングを妊娠 21 週以前に実施する群
(治療群 413 例)
・出産後に実施する群
(対照群 410 例)

さらに、治療群の女性は月 1 回歯面研磨を受け、口腔衛生に関する指導を受ける

プライマリーエンドポイント:妊娠終了時の妊娠週数
セカンダリーエンドポイント:出生体重、在胎週数に比して小産児の割合



さて、結果はどうであったのであろうか。

結果

・歯周病治療により歯周炎は改善したが(P<0.001),早期産のリスクは有意に変化しなかった(P=0.70,治療群と対象群とを比較したハザード比 0.93,95%信頼区間 [CI] 0.63~1.37).

・出生体重(3,239 g 対 3,258 g,P=0.64),および在胎週数に比して小さい産児を出産する割合(12.7% 対 12.3%,オッズ比 1.04,95% CI 0.68~1.58)に,両群間で有意差はなかった.

・対照群では 14 例の自然流産または死産が認められたのに対し,治療群では 5 例であった(P=0.08).



結果としては、統計学的に有意な差は認められなかった。
この結果だけで、歯周病の治療は、早産、低出生体重の予防に有用でないとは言い切れるものではないが、事実はどうなのであろうか。


さて、今回の研究では

「母親の歯周病」と「早期産」「低出生体重」に関連がある

との事実(データ)を基に実施されている。

ここでは、あくまでも目に見えるもの(特徴)、すなわち「母親の歯周病」と「早期産」、「低出生体重」との関連を言っているに過ぎない。

もしかしたら、「母親の歯周病」と「早期産」「低出生体重」いずれにも関連するような目に見えない特徴があるかもしれないのである。
交絡の話

例えば、ある要因Aがあったとする。
そして、Aによって歯周病も早産も引き起こされるとする。
こうなると、たとえ歯周病を治療しても、原因となるAを除かないと、早産を予防することはできない。


このように、目に見える特徴同士で関連が見られたとしても、見かけの関連である可能性は十分にありえる。

見えるものから、見えないものを探る

大変であるが、研究の醍醐味だ。


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